★☆★ 『スペクトラム』 ってどんなバンド? ★☆★


『スペクトラム』 のことを少しでも知っている人ならば、その名を聞いて

まず頭に浮かぶのは、きっと・・・

金ピカのド派手な衣装と、ホーンセクション中心の迫力あるサウンド、

そして甲高い歌声・・・。

1979年 8月25日にデビューした このバンド、色んな意味で話題に

なりました。


<衣装>

その衣装は古代ローマの戦士をイメージしたと言われ、8人のメンバー

各々が違った形の、角の生えた兜や鎧を身につけていました。

また、その衣装にも3パターンくらいあったようで、中にはちょっとイメージ

の違うアメフトっぽい肩の張ったものもありましたっけ。

何でも、それらの衣装には1000万円からのお金がかかったという噂

でしたね。


<ホーンセクション>

また、当時の日本のバンドとしては、8人編成というのはかなりの大所帯

でしたし、その中にトランペットやトロンボーンといった金管楽器の奏者が

正規のメンバーとして3人もいるなんて、ホント、初のことではなかったで

しょうか。

それに、その曲の数々もホーン部隊を最大限活かすようなものばかりで、

それまでの日本の芸能界に一大旋風を巻き起こすようなものでした。


<ファルセット>

そして、初めて聴く人が一瞬 ”え?” と感じる、あの新田さんの歌声。

当時はまだ、日本では男性の裏声は耳馴染みがなかったのでは

ないかと思います。私自身、ファルセットという言葉を耳にしたのは

この時が最初だったように思います。


<踊り・・・というかステップというべきか・・・>

今まで述べた、衣装・ホーン・ファルセット だけでも充分センセーショナル

だと思うのに、この 『スペクトラム』 は まだやってくれます。

そう、なんと、歌いながら、楽器を演奏しながら、踊ってくれちゃうのです。

それも、手にした楽器まで廻して。

これが何というか、実にイカしてたんですよ。

まさに 「カッコイイ!」 の一言です。


<技術力>

もちろん、『スペクトラム』 の話題性は何も奇抜さや物珍しさ、格好よさ

だけじゃありません。

それぞれのメンバーの、奏者としての技術力も凄かったのです。

メンバーは皆、もともとはスタジオミュージシャンや有名歌手のバックを

務めていたような人ばかりで、その実力には定評がありました。

超一級の奏者たちが、何か新しいことをやろうと集まって、出来上がった

バンドが、この 『スペクトラム』 なのです。


でも、このバンド、1981年 9月22日の武道館でのライブを最後に

僅か2年ほどの活動期間に終止符を打ってしまいます。


私みるくの勝手な想像ですが、結局、『スペクトラム』 のメンバーは

皆、自分たちのやりたいことをやりたいようにやって、楽しんで、それで

やることやったから辞めちゃったんじゃないかなぁ・・・と思うのです。

元々が表舞台に立つことのない人たちだったわけだし、そんなバックの

仕事にも少し飽きてきて、自分たちがメインになることをやってみたいと

思い立ち、やり始め・・・売れる売れないとか、バンドとして長くやっていく

とかってことはあんまり考えてなかったんじゃないかと思うのです。

ただ自分たちがやってみたかったこと、試してみたかったことを

自分たちが楽しむためにやって、日本のミュージックシーンに新風を

吹き込んで、そして、やるだけやっちゃったから、そろそろまた違うことを

やろうってことで、解散しちゃったんじゃないかと思うわけです。


だけど、ファンの方は、それぞれがこのバンドに抱いていた熱い思いを

消化しきれないうちに、アッという間に消え去ってしまわれたんで

それで今でも、こんなにみんなが 『スペクトラム』 を懐かしみ、愛して

いるんじゃないでしょうか。

当時、無理矢理断ち切られてしまった熱い思いを、今でも胸に抱き続け

あの頃の夢を追い求めているのではないかと思う、みるくなのでした。 



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