◆◆ 『侍ジャイアンツ』 の 各回ごとのStory (第6話) ◆◆


番組名 『侍ジャイアンツ』
放送局 読売テレビ放送株式会社 (YTV)
放映日 昭和48年11月11日(日)
放映時間  夜 7:30 〜 夜 8:00


第 6 話    『待ったぜ! ケンカ野球』

 一軍選手たちを審判として行われる二軍の紅白戦の前日の夕方、

 蛮の私設応援団がバイクで蛮を誘いに来る。

 八幡が止めるのも聞かず、蛮は門限までには戻るからと出ていって

 しまう。 それを見た、先輩選手の富樫は二軍のメンバーを全員

 娯楽室へ集め、明日のゲームの作戦会議を始める。

 ・・・バッターは投手の蛮を目がけて打ち返す。

 味方の野手は背を向けている蛮を目がけて返球する。

 ピッチャーフライの時は内野手全員が蛮を目がけて突っ込む・・・。

 あまりにひどい作戦に八幡が異論を唱えると、富樫たちは怒鳴った。

 巨人の腹破りを公言した蛮を、潰すか潰されるか・・・これは巨人軍と

 蛮の闘いなのだと。更に、あまり蛮をかばうとお前も巨人の反逆分子

 と見なされるぞ、と脅しをかける。


 翌日、スタメンを約束されていた蛮はオーダーを見て、食ってかかる。

 当然、ピッチャーで4番と決めてかかっていただけに、ライトで8番とは

 納得がいかなかったのだ。

 しかし、川上監督は 「巨人軍はまだ、お前をどう使うかは決めてない。

 投手と打者、どちらも使えるかも知れんし、どちらも使えんかもしれん。

 そこで、まずはテストしてみたい。」 と答える。

 こうして、球審が長嶋、塁審が王・柴田・黒江、線審が高田・土井という

 豪華な審判団をして二軍の紅白戦が始まった。

 蛮のいる紅軍は後攻で、八幡が先発ピッチャーだった。

 キャッチャーの大丸は外角高めのサインを出す。それも相手のバッター

 には筒抜けだ。 中途半端な球威とスピードしかない八幡の球は、当然

 のごとく右中間に飛ぶ。 ライトの蛮はつられて手を出す。

 しかし、セカンド後方のフライがライトの蛮に捕れるわけがない。

 他の選手は、「オーライ」と言った以上は蛮のものとばかり知らん顔だ。

 こうやって、蛮のミスがでっち上げられていくのだ。

 ・・・とは言っても、蛮も馬鹿ではない。 そうそう何度も同じ手に引っか

 かるわけには行かない。

 3人目の打者が、やはり右中間に打ち上げた時、蛮は全く知らん顔で

 動こうとしない。 そこでセカンドの岩倉が慌てて走ってボールを追う。

 岩倉が出遅れたのを見て、1塁ランナーは2塁を目指す。蛮はすかさず

 2塁のカバーに入り、空のグラブでタッチしようとする。ランナーは慌てて

 1塁へ戻ろうとするがそれも無理。 蛮は岩倉に送球を迫り、グラブを

 していない左手でボールを受け、今度こそ本当にタッチしてアウト。

 投げる方の手で取れば、ワンモーションでホームへ返球出来る。

 間一髪で、滑り込んだ先頭打者もアウトとなる。

 ・・・グラブでタッチにくれば、当然中にボールがあると考える。さもないと

 ボールは受けられないからエラーということになる。

 だが、海で櫓をこいで鍛えた蛮の手と、蛮憎しとばかりにものすごい

 勢いで返した岩倉の送球のおかげでなし得た、トリック・ダブルプレー

 だった。


 そして5回裏・・・。

 キャッチャーの大丸がセンター前ヒットで出塁。1アウト1塁で蛮の打順が

 まわってきた。

   「暴投もしますよ、ノーコンだから。
   エラーもしますぜ、せっかちだからね。
   ところがバッティングについちゃあ、どなたさんからも後ろ指を指された
   ことがねぇ! バカーンと一発、いったるでーっ!」

 勇んでボックスへ入り、バットを構えた蛮だったが、まるで大リーガーの

 スラッガー気取りのような一本釣り打法のフォームを見て、皆あきれる。

 更に、”バットの振りだけは本物だった”などと言わせない為に・・・

 という富樫の悪知恵で、3球目を送りバントにしろとのコーチのサインが

 蛮に出される。

 それも敵チームに筒抜けだ。

 1・2球目のストライクを見逃し、3球目。 高めに大きく外れたボール球を

 蛮はジャンプして打ち、センターオーバーのヒットとする。

 足の遅い前走者の大丸を必死に追い立てるが、やはり大丸の足は遅く、

 ランニングホームランのところが3塁止まりとなる。

 ぼやく蛮に、コーチが怒鳴る。

 命令違反だというのだ。

 蛮は答える。 確かに大リーグでも、バントのサインが出ていた打者が

 絶好球が来た為ホームランを打ったが誉められるどころか罰金を食らった

 という例はある。 しかし今の場合、何故かサインは相手チームに筒抜け

 だった。当然、バント封じの球は高めと決まっている。

 となれば打たない手はない。

 悪球打ちの名人と言われる長嶋も同調する。

 高めの球も、普通の人間以上のジャンプをして見事にとらえた蛮は

 むしろ褒められるべきだと。

 調子に乗った蛮は、次はホームスチールだと予告する。


 ピッチャーが投げたと同時に、蛮は2塁へ逆走。 慌ててボールを2塁へ

 送ったキャッチャーだったが、蛮はきびすを返し3塁へ。面食らった選手が

 球をそらした隙に3塁を蹴って、さらにホームへ。

 蛮はセーフとなり、見事スチールは成功するが、キャッチャーのスパイクが

 打者・八幡のすねに当たり、八幡はケガをする。

 相手チームは猛然と講義する。一度3塁を踏んだ走者が2塁へ走るなど

 ルール違反だと。

 しかし、蛮は3塁を踏んではいなかったのだ。

 近くに座り込んだり寝そべったりはしていたが、一度も塁に触れていない。

 3塁塁審の王と、球審の長嶋がそれを認めた。

 そこで、富樫はここぞとばかりに蛮に迫った。

 ピッチャーの八幡をケガさせた責任をとって、次の回からお前が投げろと。

 川上監督は心の中で思っていた。

  「ピッチャーほど敵味方ぐるになって潰しやすいポジションはないんだぞ。
  これまでの打撃と守備、走塁の活躍も帳消しになってしまうぞ。」

 しかし、蛮はのぞむところと受けて立つ。

  「すべからく地獄で歌っちゃうのさ!!」 と。


 この回の冒頭の、紅白戦の前日の夕方に
  私設応援団の人たちが蛮を誘いに来るシーンで
  ひき止める八幡に向かって蛮の言う台詞・・・。

  「そんなに心配なら、この間、この兄ちゃんたちが
  くれたマムシ入りの佃煮でも食べてな。」

  この台詞の『この間』ってのが気になるんだよね。
  
  第5話で私設応援団が初めて宿舎に来た日、
  その日の練習の最後に「明日は紅白戦をする」と
  言われたんじゃなかったの?
  となれば、紅白戦の前日の夕方ってことは
  私設応援団が初めて蛮の前に現れたその当日
  ってコトだよねぇ?

  ・・・それとも、私設応援団が初めて来た日の朝の
  出来事と、その後の練習シーンとは、続いている
  みたいだけど、タイムラグがあって、別の日・・って
  ことなのかしら???

  気になるなぁ・・・。  



   
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