◆◆ 『侍ジャイアンツ』 の 各回ごとのStory (第8話) ◆◆


番組名 『侍ジャイアンツ』
放送局 読売テレビ放送株式会社 (YTV)
放映日 昭和48年11月25日(日)
放映時間  夜 7:30 〜 夜 8:00


第 8 話    『誰も打たなきゃ俺が打つ!』

巨人二軍・紅白戦の翌日のスポーツ新聞には、元巨人軍投手

金田正一がパ・リーグのロッテ・オリオンズ監督就任の記事と

並んで、蛮の巨人軍・腹破り宣言が大々的に取り上げられた。

窓の下からは、「番場を辞めさせろ!」 と巨人ファンの抗議の

声が聞こえる中、巨人首脳陣たちに詰め寄られる川上監督。

だが川上監督は、来シーズンの開幕までは何を言われても

じっと我慢して欲しいと言う。 

それまでは腹破りをされないという保証があるのか、と

問いつめられ、巨人軍が新しく生まれ変わるという保証があると

答える川上監督。

  「我が読売巨人軍にとっての番場蛮とは
  ロッテ・オリオンズがパ・リーグに新しい血を入れようとして
  我が巨人軍出身の金田正一投手を監督に迎えたのと
  同じです。  ・・・ロッテ・オリオンズも変わるでしょうが
  我が巨人軍は、もっと変わるでしょう。
  現に、多摩川ファームの選手たちは変わりつつあります!」


その頃、当の二軍選手たちはといえば・・・

 「番場みたいなフーテン野郎に食いつぶされるような 
 俺たち巨人二軍じゃねぇ!  首の皮一枚つながっていれば
 立ち直れることを見せつけてやろうぜ!!」

・・・と、皆で集まって奮起していた。

と、そこへ外から石が投げ込まれ、ガラスが割れた。

蛮の腹破り宣言に腹を立てた巨人ファンたちの仕業だった。

蛮を出せと怒鳴るファンたちに富樫らは、蛮が八幡と一緒に

土手の方へ行ったと告げる。


一方、その頃二人は・・・

八幡は蛮の所行が心配でしょうがない。 

お前だって巨人の一員なのだから、試合に出れば監督命令に

従うしかない。そんな中で、果たして腹破りなんか出来るのか

考え直した方がいい、と蛮に諭していた。

しかし蛮は、こればかりは親譲りでどうにも止まらない、と言う。

聞く耳を持たない蛮を見て、これ以上言っても仕方ないと

八幡は一足先に宿舎へと向かう。

一人土手に寝転がっていた蛮に、数人の男が襲いかかる。

宿舎に石を投げた男たち6〜7人が、棒をもって殴りかかる。

騒ぎに気付いた八幡が慌てて引き返して来た為、男達は退散。

大事には至らずに済んだが、宿舎に戻り手当を受ける蛮に

中尾二軍監督は、明後日ロッテ二軍と多摩川球場で練習試合を

行い、そこで活躍すれば一軍オープン戦に同行できると言う。

そして、その試合に先発投手として蛮に出てもらうと言い渡す。

当然、富樫らは監督に食ってかかるが、川上監督の希望だと

あっさり却下されてしまう。


翌日の練習後、一人の先輩選手が蛮に客が来ているぞと、声を

かけた。 蛮が行ってみると、そこには昨日蛮を襲った男がいた。

昨日のお詫びにメシでもおごると言うのだ。

根が単純な蛮は、八幡の制止を無視してついて行ってしまう。

酒を勧める男に、蛮は、明日登板だからと断るが

男はノンアルコールの特製ジュースだと偽って、蛮を酔わせる。

その頃宿舎では、門限時間になろうというのに戻って来ない蛮を

心配して、八幡はユニフォーム姿のまま部屋の中をウロウロ。

そんな八幡の気も知らずに、蛮はしたたかに酔っぱらって

大声でわめきながら帰ってきた。

慌てて玄関から走り出てきた八幡だが、中尾監督に

「明日の朝までに蛮をシャンとさせておけ! さもないと、いくら

川上監督の命令とは言え、登板は取り消しだ!」 と一喝される。

陰でほくそ笑む富樫たち・・・。 

例によって今度のことも、彼らの策略なのだった。


翌日、多摩川球場には川上監督と金田・新監督が連れだって

現れた。 駆け寄る記者たちに金田は、川上監督からイキの良い

ピッチャーがいるから見に来いと言われたのだと説明する。

当の蛮はと言えば、ベンチで富樫らに二日酔いを醒ますため、と

勧められ、特製ブラックコーヒーをガブ飲みさせられていた。


シーズンオフで野球中継に飢えている野球ファンの為に

特別企画としてラジオ放送までついて、試合は始まった。

予告されていた通り、先発投手としてマウンドに上がった蛮だが

一球も投げないうちにタイムの要請をして、トイレへと直行。

コーヒーをガブ飲みしたので、お腹が緩くなったのだ。

またしても、富樫らの悪知恵だった。

何とかマウンドに戻った蛮だったが、またしても球を投げる前に

トイレへ・・・。 八幡から下痢止めの薬をもらい、再びマウンドへ。

下痢の為、身体中から力が抜けてしまった蛮だったが、それが

却って、余計なリキみを取り去ってくれ、コントロールが出てきた。

信じられないことに、三者三振を取る蛮。

ロッテの大藤投手も好調で、絶妙のコントロールの蛮に対し

豪速球の大藤、7回になるまで両軍ともにゼロ行進・・・と

投手戦の様相を見せていた。

金田監督は、ただコントロールが良いだけじゃないか、と

かなり期待はずれな様子。

だが、8回の表・・・。

腹の調子も良くなってきた蛮は、ここらで力一杯投げてやるか、と

張り切り、いつもの悪い癖が出てしまう。

あまりの暴投に、さすがの蛮も ”フォアボールを出すくらいなら

打たせて取るか” と緩く投げるが、味方の守備も当てにならず

エラーによりランナー出塁。

仕方ない、バッターと勝負だ! とばかりに力投すると

今度はデッドボールで、ランナー1・2塁となってしまう。

さらに、ワイルドピッチで走者2・3塁。 

そして、またまたフォアボールで、とうとう満塁のピンチに・・・。

しかし、さすがは蛮と言うべきか、たった一人で成し遂げた

トリプルプレーによって、何とかその回は危機を脱した。


8回の裏は、蛮からの打順だ。

その蛮は、あろうことか予告ホームランを宣言する。

  「自分でホームランを打って、自分を勝利投手にする。
  これが侍の流儀だぜ!」

周囲が呆然とする中、蛮の高笑いだけが響いていた。


  土手で寝ている蛮に最初に殴りかかり
   その上、ロッテとの試合の前日に蛮を
   呼び出し、ベロベロに酔わせた男の声。
   これは、『ドラえもん』のスネ夫や
   『銀河鉄道999』の車掌さん役で有名な
   肝付兼太さんですね。
   今回の声は、どっちかというとスネ夫を
   ちょっとだけ大人の男にしたような感じ・・・
   でしょうか?   



   
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