◆◆ 『侍ジャイアンツ』 の 各回ごとのStory (第12話) ◆◆


番組名 『侍ジャイアンツ』
放送局 読売テレビ放送株式会社 (YTV)
放映日 昭和48年12月23日(日)
放映時間  夜 7:30 〜 夜 8:00


第 12 話    『大勝負! 川上対バンババーン』

多摩川グランドでの1軍の練習中・・・。

打席に入った長嶋がタイムをかけて靴ひもを直している間に、投球練習のつもりで

投げた堀内の球を、走り込んできた蛮が場外へ打ってしまう。

が、いきなりの仕業に怒ったキャッチャーの森から 「堀内が本気で投げれば

お前の馬鹿でかいフォームじゃ、かすりもしないぞ!」 と怒鳴られる。

自慢の一本釣り打法を馬鹿にされちゃあ黙っていられないと、堀内に勝負を

申し込む蛮。 慌てて止める八幡だが、何を思ったのか、川上監督はそれを

許可する。 ただし1球勝負という条件付きでだ。

蛮は堀内の球を大ファウルにするが、川上監督は勝負ありと言う。

1球だけの勝負なら、ファウルは打者の負けだと。

それでも納得しない蛮に、練習の邪魔だと言う川上監督。

”この一本釣り打法を2軍にくすぶらせておく石頭どもに、威力を見せつけて

やったんだ” とくってかかる蛮。

だが、川上監督は 「そんな錆び付いたバットじゃ1軍では通用せん!」 と

耳を貸さない。 そして約束があるからと、後を中尾2軍監督に任せ立ち去る。

その背中に向かって 「腹破りが怖いんだろう!逃げるのか、腰抜け!!」 と

怒鳴る蛮。

その夜、宿舎の予定表の黒板に、明日の16日、後楽園で阪急とのオープン戦と

書いてあるのを見た蛮は、止める八幡を振り切って川上の自宅へと乗り込んだ。

明日の試合に出せと迫る蛮に、川上はなぜそんなに急いで1軍へ行こうとするのか

と尋ねる。

腹破りする為に、O・N(王・長嶋)以上の選手になるのだと言う蛮。

だが、当然、巨人軍の為にならない選手はトレードに出される。

そこからが本当の腹破りの始まり、他の球団へ行って巨人を叩きつぶすんだ!

そうイキる蛮に川上監督は、そんなにこの首がほしいなら明日の試合で監督をしろ

と言う。 そして、お前の采配で巨人が勝てばこの首をくれてやるが、反対にお前が

負けたらどうする? と問う。

蛮は、「そっちが首ならこっちは腹よ! 潔くこの腹、かっさばいてみせるぜ!」 と

豪語する。


その夜、宿舎では大騒ぎになっていた。 選手たちが、川上監督に蛮の代理監督

の件を撤回するように電話をかけさせてくれと寮長に訴える。

困った寮長は、川上監督には何か考えがあってのことだ、と止める。

そこに、八幡が屋上から飛び降りようとしていると、数人の選手が知らせに来る。

先輩である自分の指導が足りないばかりに、こんな騒ぎになってしまった。死んで

蛮に腹破りを辞めさせるのだ、と叫ぶ八幡。 必死に止めようとする選手たち。

だが、いつの間にか帰ってきた蛮は 「そんなことしをしても無駄だぜ」 と冷たい。

こっちも命賭けの勝負、今さら後へは引けないと言うのだ。


翌朝の新聞にも、蛮の代理監督のニュースは大々的に報じられた。

理香もそれを読む。

巨人軍の球団事務所には大勢の記者たちが詰めかけたが、正力オーナーは

冒険なくして進歩はない、野球を面白くするための冒険であり、番場のことは全て

川上監督に任せてある、と余裕の表情だった。


先発メンバーが発表されると、誰もが驚きを隠せなかった。

ベテランたちは誰一人入っておらず、まだまだ若手の選手ばかりだったのだ。

当の選手たちは、一体どう戦えばいいのかと川上監督に尋ねる。これで勝てば

川上監督の首が飛ぶことを知っているのだ。

だが、川上監督は、一旦グランドへ出れば勝利を目指すのみ、と言い切る。

蛮も、「日本シリーズのつもりで戦え。どんなことをしても勝つんだ!」と檄を飛ばす。

試合が始まると、蛮は自らどんどん野次を飛ばし、自分のペースに巻き込んでいく。

呆れる実況アナウンサーだが、たまたま敵情視察に来ていて、中継の解説にと

呼ばれたロッテの金田監督は、さすがに蛮の考えをよく分かっていた。

それもこれも、蛮の作戦だと言うのだ。

相手チームは、蛮の代理監督の件だけでもカッカきている。その上、意表を突いた

スタメン。 さらに蛮の野次での個人攻撃・・・。全て蛮の心理作戦だと。

実際、相手チームはすっかりペースを崩してしまっていた。

また、味方チームの選手とも、わざとやり合って気合いを入れる。

そうこうするうち、巨人選手はどんどん出塁し、とうとう満塁に・・・。

絶好のチャンスだと言うのに、蛮は代打を出さず、そのまま河埜を打席へ行かせる。

ここでもし一発打ってしまったら川上監督の首が・・・そう悩む河埜は打ち気なしの

棒立ちのままだった。 蛮は応援席の声援をやめさせ、河埜は川上監督にゴマをすり

たいんだとさ、とわざと河埜に聞こえるように言って聞かせる。

怒った河埜は思い切りバットを振り、ホームランを打つ。

大泣きしながらホームペースを踏んだ河埜に向かって、蛮は「これで巨人が勝ったら

君のおかげだよ」 と言う。

河埜はあまりの悔しさに、蛮の顔を拳でぶん殴り、蛮の身体が後ろへ飛ばされた。


  蛮の代理監督が報じられた新聞を
   リビングらしき部屋で読んでいた理香。
   その後ろにはサイドボードがあり
   その上には「広辞苑」。
   そしてガラス戸の中には、
   「ムービー大○○」と書かれた本が・・・。
   ○○の部分は読みとれないんだけど
   「百科」とか「辞典」とか「図鑑」とか
   そういう類かな? と思ってます。

   このアニメの制作は東京ムービー。
   スタッフのイタズラ心で書かれたのかな。
  今回の阪急との試合のスタメンは・・・

  <阪急>  <巨人>
1. 福本     淡口(ライト)
2. 住友     大竹(ファースト)
3. 加藤     原田(レフト)
4. 長池     上田(ショート)
5. 森本     富田(セカンド)
6. 大熊     河埜(サード)
7. 種茂     柳田(センター)
8. 大橋     阿野(キャッチャー)
9. 山田     新浦(ピッチャー)



   
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